Column — コラム

なまこ漁の世界|瀬戸内の漁師の一日と産地直送のしくみ

2026年06月09日 瀬戸内なまこ屋
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なまこ漁の世界|瀬戸内の漁師の一日と産地直送のしくみ

冬の朝、まだ暗いうちから瀬戸内海の漁港には灯りが灯ります。

なまこ漁は、冷たい海に潜って一つひとつ手作業で採る、地道な仕事です。

普段私たちが食卓で口にするなまこが、どのような過程を経て届いているのか、意外と知られていないのではないでしょうか。

この記事では、瀬戸内海のなまこ漁の歴史や漁法、漁師の一日の流れから、水揚げ後に産地直送でお届けするまでの工程を紹介します。

なまこの基本と合わせてお読みいただくと、一層楽しめるはずです。

なまこ漁の歴史|古代から続く日本の伝統漁業

日本におけるなまこ漁の歴史は古く、奈良時代の文献にはすでに「海鼠(こ)」の記載が見られます。

平安時代の延喜式(927年)には、なまこが朝廷への献上品として記録されており、当時から珍重されていた食材であったことがうかがえます。

特に干しなまこ(乾燥なまこ)の生産は江戸時代に大きく発展しました。

長崎を窓口とした中国との交易品として「俵物三品(たわらものさんぴん)」のひとつに数えられ、煎海鼠(いりこ)として海外に輸出されていたのです。

なまこは単なる食材にとどまらず、日本の貿易史にも深く関わっていた存在でした。

瀬戸内海でのなまこ漁も古くから行われており、穏やかな海域で育った上質ななまこは、各地の市場で「瀬戸内もの」として高い評価を受けてきました。

現在でも愛媛県・広島県・岡山県・香川県などの沿岸部では、冬場を中心になまこ漁が盛んに行われています。

「このわた」と「ほしこ」の歴史

なまこの内臓を塩漬けにしたこのわたは、ウニ・からすみと並ぶ「日本三大珍味」のひとつです。

江戸時代には尾張藩の名産品として将軍家に献上されていたとも伝えられています。

また、なまこの卵巣を干したほしこ(バチコ)も古くから酒の肴として珍重されてきました。

瀬戸内のなまこ漁師の一日|冬の海に挑む仕事

なまこ漁が行われるのは、主に11月から翌年3月にかけての冬場です。ここでは、瀬戸内海で行われる一般的ななまこ漁の一日の流れをご紹介します。

早朝4:00〜5:00 ── 出港準備

まだ夜が明けきらない早朝、漁師たちは漁港に集まり、船の点検や道具の準備を始めます。

潮の満ち引きや天候を確認し、その日の漁場を判断します。

瀬戸内海は島々に囲まれた穏やかな海ですが、冬場の朝は冷え込みが厳しく、気温が氷点下になることも珍しくありません。

5:00〜6:00 ── 漁場へ出港

日の出前後に出港し、漁場まで船を走らせます。

なまこは水深5〜20m程度の浅い海底に生息しているため、沿岸からそれほど遠くない場所が漁場となります。

ベテランの漁師は長年の経験から、なまこが多く集まるポイントを熟知しています。

6:00〜11:00 ── 漁(素潜り・桁曳きなど)

漁場に着いたら漁の開始です。

漁法は地域によって異なりますが(詳しくは次の章で解説します)、瀬戸内海では素潜り漁や桁曳き網漁が多く行われています。

素潜りの場合、漁師はウェットスーツを着て冬の海に入り、海底のなまこを一つひとつ手で拾い集めます。

水温が10度Cを下回ることもある厳しい作業です。

11:00〜13:00 ── 帰港・選別

漁を終えると港に戻り、水揚げしたなまこの選別作業が始まります。

サイズごとに分け、傷のあるものや規格外のものを除きます。

この段階で鮮度を保つため、すぐに海水の入った水槽に移すことが多いです。

午後 ── 出荷・加工

選別後のなまこは、その日のうちに競りにかけられるか、加工場で下処理されます。

産地直送の場合は、水揚げ当日に下処理・パッキング・冷凍処理を行い、鮮度の高い状態でお客様のもとへ届ける準備を整えます。

なまこの漁法|素潜りから桁曳きまで

なまこの漁法は地域や海底の地形によってさまざまです。日本で行われている主な漁法をご紹介します。

素潜り漁(海士漁・海女漁)

漁師が直接海に潜り、海底のなまこを手で拾い集める漁法です。

瀬戸内海沿岸では伝統的にこの方法が行われてきました。

一つひとつ目で確認して採るため、小さな個体や抱卵個体を避けることができ、資源管理にもつながる持続可能な漁法です。

ただし、冬場の冷たい海に潜る厳しさや、担い手不足が課題となっている地域もあります。

桁曳き網漁(けたびきあみりょう)

船から鉄製の枠(桁)が付いた網を海底に沿って曳き、なまこを採る漁法です。

広い範囲を効率よく漁獲できる利点がありますが、海底環境への影響を考慮し、操業区域や時期に制限が設けられています。

箱メガネ漁

船上から箱メガネ(水中を覗くための箱型の道具)で海底を覗き、長い柄のついたヤス(突き棒)やタモ(網)でなまこを採る漁法です。

潜水しなくてよいため体への負担が少なく、高齢の漁師でも続けやすいという利点があります。

漁業権と資源管理

なまこ漁は各地域の漁業協同組合(漁協)によって厳格に管理されています。

漁期・操業時間・漁獲量に制限が設けられ、資源の持続的な利用が図られています。

近年は乱獲防止のため稚ナマコの放流事業に取り組む漁協も増え、密漁対策として各地で監視体制の強化も進んでいます。

季節と漁場|なまこはどこで、いつ獲れるのか

なまこ漁の時期と漁場は、なまこの生態と深く結びついています。

漁期カレンダー

産地 主な漁期 最盛期
瀬戸内海 11月〜3月 12月〜2月
北海道 10月〜5月 11月〜1月
三陸 11月〜4月 12月〜2月
能登半島 11月〜3月 1月〜2月

いずれの産地でも冬場が中心です。

これはなまこが水温の低い時期に活発になり、エサをよく食べて身が充実するためです。

夏場はなまこが「夏眠(かみん)」と呼ばれる休眠状態に入るため、漁獲はほぼ行われません。

瀬戸内海の漁場の特徴

瀬戸内海は日本最大の内海で、大小700以上の島々が点在し、潮流が複雑に入り組んだ栄養豊富な海域です。

島々の周辺や入り江の浅場は好漁場とされ、古くからなまこ漁が盛んに行われてきました。

外海に比べて波が穏やかなため、素潜り漁が行いやすく、丁寧な漁獲と品質管理が可能です。

水揚げから産地直送まで|鮮度を守る5つの工程

漁師が水揚げしたなまこが食卓に届くまでには、鮮度を保つための丁寧な処理工程があります。

  1. 水揚げ・活け〆 ── 漁獲したなまこはすぐに船上の海水タンクに入れ、鮮度を保ちます。港に戻ったら、すみやかに活け〆処理を行います。
  2. 選別・検品 ── サイズや品質ごとに選別し、傷や異物がないか検品します。規格外の個体はここで除かれます。
  3. 下処理 ── 内臓を取り除き、塩もみでぬめりを落とします。食べやすいサイズにカットする場合もあります。この下処理の丁寧さが、最終的な味わいに大きく影響します。
  4. 急速冷凍 ── 下処理を終えたなまこは、品質を保つために急速冷凍します。家庭用の冷凍庫よりもはるかに低い温度で一気に凍結させることで、細胞へのダメージを最小限に抑え、解凍後も生に近い食感を維持できます。
  5. 梱包・出荷 ── 冷凍したなまこを衛生的にパッキングし、保冷材とともに梱包します。クール便(冷凍便)で発送し、お客様のご自宅に届きます。

水揚げから冷凍までを短時間で処理することが、鮮度を守るうえで何より重要です。

当店のお試しセットでは、瀬戸内海産の天然なまこをこの工程に沿って迅速に処理し、ご家庭にお届けしています。

解凍方法やおいしい食べ方については、なまこの食べ方ガイドで詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. なまこ漁は誰でもできますか?

なまこ漁を行うには、各地域の漁業協同組合が管理する漁業権が必要です。

一般の方が勝手になまこを採ることは密漁にあたり、法律で禁止されています。

なまこの密漁は近年厳罰化されており、3年以下の懲役または3,000万円以下の罰金が科される場合もあります。

Q. 瀬戸内海のなまこは他の産地と何が違いますか?

瀬戸内海は穏やかな内海で、潮流が複雑に入り組んだ栄養豊富な海域です。

この環境で育つなまこは、身がやわらかく上品な味わいが特徴とされています。

また、素潜り漁による丁寧な漁獲と、水揚げから加工までの距離が近いことで、鮮度の高い状態での出荷が可能です。

Q. なまこの産地直送と市場経由では、品質にどんな違いがありますか?

産地直送は水揚げから消費者に届くまでの流通段階が少なく、鮮度面で有利です。

市場経由の場合、競り・仲卸・小売と複数の段階を経るため時間がかかります。

当店では産地直送の利点を活かし、水揚げ当日に下処理・急速冷凍を行い、鮮度の高い状態でお届けしています。

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