Column — コラム

ほしこ・このわた・くちこと日本酒の合わせ方|瀬戸内なまこ屋

2026年04月19日 森結花
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「ほしこって、どうやって食べるのが正解?」「このわたを日本酒に入れて飲む"このわた酒"が気になる」「くちこは炙るだけでいいの?」

なまこから生まれる3つの珍味——ほしこ・このわた・くちこ。名前は聞いたことがあっても、楽しみ方がわからないという方は少なくありません。

実はこの3つ、それぞれまったく違う味わいと食感を持ち、日本酒との相性が抜群の食材です。軽く炙るだけ、熱燗に浮かべるだけ、ご飯にのせるだけ——。どれも手間いらずで、晩酌の時間がぐっと特別になります。

この記事では、瀬戸内海の島で水産業を営む私たちが、ほしこ・このわた・くちこの違いと、日本酒と一緒に楽しむ方法をわかりやすくお伝えします。

ほしこ・このわた・くちこ|3つの珍味の違い

3つとも「なまこ」から作られますが、使う部位と加工方法がまったく異なります。まずはその違いを整理しましょう。

  • ほしこ(干海鼠):なまこの腸を天日で丁寧に干した乾物。噛むほどに磯の旨味が広がり、凝縮された風味が特徴です。瀬戸内海では古くから保存食として親しまれてきました
  • このわた(海鼠腸):なまこの腸を塩漬けにして熟成させた発酵珍味。日本三大珍味のひとつに数えられ、とろりとした食感と深い旨味が特徴です。越前うに・からすみと並ぶ日本の味覚の最高峰
  • くちこ(口子):なまこの卵巣を干したもの。1枚作るのに約20kgのなまこが必要とされる、珍味の中の珍味。三味線のバチに似た三角形の見た目で、「バチコ」とも呼ばれます。能登半島の特産品として知られています

同じなまこから生まれるのに、腸の乾物、腸の塩辛、卵巣の干物と、まるで別の食材のようなバラエティ。これがなまこの奥深さです。

ほしこの楽しみ方|噛むほどに広がる磯の旨味

ほしこは「なまこの腸を干した乾物」。乾燥によって旨味が凝縮され、噛めば噛むほど磯の風味が口いっぱいに広がるのが魅力です。

食べ方1:軽く炙ってそのまま(王道)

いちばんのおすすめは、コンロやトースターで軽く炙るだけのシンプルな食べ方。香ばしさが加わり、日本酒の肴として最高の一品になります。炙りすぎると硬くなるので、表面がほんのり温まる程度でOK。純米酒や本醸造との相性が抜群です。

食べ方2:熱燗に浮かべて「ほしこ酒」

ほしこを小さくちぎって熱燗に浮かべると、お酒の中にじわじわと磯の旨味が溶け出します。飲み進めるうちに味が変化していく楽しさは、ほしこ酒ならでは。最後に残ったほしこを食べるのも通の楽しみ方です。

食べ方3:お茶漬け・炊き込みご飯に

細かく刻んだほしこをご飯にのせて、お湯やお茶を注ぐだけの簡単お茶漬け。乾物の出汁がご飯にしみ込んで、上品な一杯に仕上がります。炊き込みご飯に入れても、磯の風味がごはん全体に広がり絶品です。

ほしこに合う日本酒は、旨味のしっかりした純米酒や、ぬる燗〜熱燗の燗酒。乾物の凝縮された味わいに、温かいお酒の丸みが寄り添います。

このわたの楽しみ方|日本三大珍味を味わい尽くす

このわたは、なまこの腸を塩漬けにして熟成させた日本三大珍味のひとつ。独特のとろりとした食感と、深い旨味が特徴です。

食べ方1:そのまま少量を(まずはこれから)

小皿に少量を盛り、箸先でほんのひと口。このわたは味が濃いので、一度にたくさん食べるものではありません。少量をゆっくり味わいながら、日本酒をちびちびと——。これが通の楽しみ方です。冷酒でも燗酒でも合いますが、辛口の純米酒との組み合わせは格別です。

食べ方2:熱燗に入れて「このわた酒」

このわたの楽しみ方の中でも特に有名なのが「このわた酒」です。作り方はとても簡単。

  • ステップ1:お猪口に少量のこのわた(小さじ半分程度)を入れる
  • ステップ2:熱燗(50〜55℃)を注ぐ
  • ステップ3:軽くかき混ぜて、ひと口

お酒にこのわたの旨味がふわっと溶け出し、磯の香りと塩味が熱燗と一体になった、贅沢な一杯が完成します。このわた酒を知ると、冬の晩酌が待ち遠しくなるはずです。

食べ方3:アレンジで楽しむ

このわたはアレンジも豊富です。

  • うずらの卵と:生のうずら卵を落として混ぜると、まろやかさが加わります
  • 温かいご飯に:ほんの少量をのせるだけで、最高の贅沢ご飯に
  • いかの刺身と和えて:いかの甘みとこのわたの塩気がぴったり合います

くちこの楽しみ方|珍味の中の珍味を炙りで

くちこ(干しくちこ)は、なまこの卵巣を丁寧に干した最高級珍味です。1枚作るのに約20kgものなまこが必要とされ、その希少性から「珍味の中の珍味」と呼ばれています。能登半島の限られた生産者が、今も手作りで仕上げている逸品です。

食べ方1:軽く炙って(これが王道)

くちこの楽しみ方の基本は「軽く炙る」。コンロの火でさっと炙ると、表面がほんのりきつね色に変わり、えも言われぬ芳醇な香りが立ちのぼります。

炙り加減のコツは「温める程度」。炙りすぎると香りが飛んでしまうので、表面がほんのり温まったら十分です。手でちぎって、日本酒と一緒にゆっくりと味わってください。大吟醸や純米大吟醸の華やかな香りと、くちこの上品な旨味の組み合わせは、まさに至福のひとときです。

食べ方2:熱燗に浮かべて

小さく裂いたくちこを熱燗に浮かべる楽しみ方もあります。じんわりとお酒に旨味が溶け出し、一口ごとに味わいが深まっていきます。ほしこ酒と同様に、最後にお酒を吸ったくちこを食べるのも格別です。

食べ方3:お吸い物や料理のアクセントに

細かく刻んだくちこをお吸い物に浮かべると、上品な出汁の香りが広がります。おろし金ですりおろして料理に和えるのも、料亭で見られる食べ方です。

なまこ珍味×日本酒|タイプ別おすすめの組み合わせ

それぞれの珍味に合う日本酒のタイプをまとめました。

  • ほしこ × 純米酒(ぬる燗〜熱燗):凝縮された旨味に、温かいお酒のふくよかさが寄り添う組み合わせ。燗酒好きな方に特におすすめ
  • このわた × 辛口純米酒(冷酒〜燗酒):このわたの塩気と旨味を、辛口のキレが引き締めます。このわた酒にするなら熱燗で
  • くちこ × 純米大吟醸(冷酒〜常温):くちこの繊細な風味には、華やかでありながら透明感のあるお酒を。最高級の珍味には、最高級のお酒を
  • 3種盛り × 飲み比べセット:ほしこ・このわた・くちこを少量ずつ盛り合わせ、タイプの異なる日本酒を3種用意。それぞれの組み合わせを楽しむ「なまこ珍味の利き酒セット」は、おもてなしにも喜ばれます

日本酒のおつまみとして、なまこ珍味は「少量で満足できる」のも大きな魅力です。ほんのひと切れ、ほんのひと箸が、お酒の時間を何倍にも豊かにしてくれます。

まとめ

ほしこ・このわた・くちこの違いと、日本酒と一緒に楽しむ方法をお伝えしました。

  • ほしこ:なまこの腸の乾物。軽く炙って酒の肴に、熱燗に浮かべて「ほしこ酒」に
  • このわた:日本三大珍味。そのまま少量を味わうか、熱燗に入れて「このわた酒」に
  • くちこ:珍味の中の珍味。軽く炙って純米大吟醸と合わせるのが至福
  • 共通のコツ:少量をゆっくり、日本酒とともに味わう。それが珍味の楽しみ方

瀬戸内海の穏やかな海で育ったなまこから生まれる3つの珍味。どれも、日本酒好きな方の晩酌を一段と豊かにしてくれる逸品です。「今夜はちょっと贅沢に」——そんな日に、ぜひお試しください。

当店「なまこや」では、瀬戸内海・愛媛産の天然なまこをはじめ、ほしこなど、日本酒に合う珍味を取り揃えています。3つの味をまとめて楽しみたい方には三大珍味セットもおすすめです。

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よくある質問

Q. このわた酒はどんな味ですか?

熱燗にこのわたの磯の旨味と程よい塩気が溶け出し、一口目から深い味わいが広がります。見た目は少し驚くかもしれませんが、飲んでみると「こんなに合うのか」と感動される方がほとんどです。日本酒好きな方にはぜひ一度お試しいただきたい飲み方です。

Q. ほしこ・このわた・くちこの保存方法は?

ほしこは常温(直射日光を避けた冷暗所)で長期保存が可能です。このわたは冷凍保存が基本で、食べる分だけ解凍してお召し上がりください。くちこ(干しくちこ)は冷蔵保存で、開封後はお早めにお召し上がりいただくのがおすすめです。

Q. なまこの珍味は初めてですが、何から試すのがおすすめですか?

初めての方にはこのわたがおすすめです。日本三大珍味として知名度が高く、少量で味わいが濃いので「なまこ珍味の世界」を体験するのにぴったりです。お酒と一緒なら、まずはそのまま少量を箸先で味わってみてください。


免責事項
本記事は食品としてのなまこ珍味の楽しみ方をご紹介するものであり、特定の疾病の治療・予防・改善を目的とするものではありません。飲酒は20歳を過ぎてから。お酒は適量を心がけ、飲酒運転は法律で禁止されています。

コラム一覧に戻る 2026年04月19日 公開

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